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医院だより

第21回 『恐ろしい後遺症「帯状疱疹後神経痛」にならないために』

こんにちは、理事長の工藤です。前号では 「帯状疱疹ってどんな病気?」についてお話ししました。今回はその続きの「恐ろしい後遺症『帯状疱疹後神経痛』にならないために」についてお話します。

◆恐ろしい後遺症「帯状疱疹後神経痛」にならないために

「帯状疱疹後神経痛(PHN:post herpetic neuralgia)」とは、帯状疱疹の皮膚の症状が治ったにも関わらず、数か月あるいは、数年、数十年にわたり、「神経痛」だけが残ってしまうことです。 

ちょっとした「ピリピリ感が残る」程度の方もいますが、「電撃が走るようなビリビリした痛み」で眠れなくなったり、通常の日常生活が送れなくなるほどの方もいます。 痛みが続き、うつ状態になる方もいます。患者さんは痛みを「やけるような」「刺すような」「電気が走るような」「締め付けるような」と表現します。病変部を軽く触れただけで痛みや違和感を感じる方もいます。通常の痛み止めの内服薬で改善しない場合は、麻薬の内服薬を使用したり、神経ブロック注射をしたり、治療に難渋します。治療はときに、数か月、数年と長期間に及ぶこともあります。この後遺症ができるだけ出ないようにするには、どうすればよいのでしょうか?それは、まず第一に、「帯状疱疹が発症してからできるだけ早く、治療を受けること」が重要です。帯状疱疹を抑える、「抗ウイルス薬」を早く投与すればするほど、帯状疱疹の痛みや後遺症の発症率を抑えることができます。抗ウイルス薬の投与は、原則としては「皮疹が出てから5日以内」です。「なーんだ、そんなことか、簡単ですね。」と思われた方もいるかも知れません。しかし、この病気について予備知識がないと「なんか重苦しいなぁ」「なんとなく痛がゆいなぁ」「あれ、ちょっと赤いぶつぶつが出てきたぞ・・・。まぁでも市販の塗り薬でも塗って様子みてみるか・・・」などと様子をみているうちに、5日や1週間が過ぎてしまうことはよくあります。また、女性の「乳房の近く」や「陰部の近く」に出ることも多いので、「なんとなく、場所が場所だし・・・、お医者さんに見せるのが恥ずかしいし、面倒だな」と思って、病院受診が遅れる方もいます。我々皮膚科医からすると、「どうしてここまで我慢できたの!?」と思うくらい、発疹が広がって水疱が破れて浸出液が沢山出て、ものすごい痛みを伴った状態で来院される患者さんを沢山診ます。

 こういったことは、

(1)帯状疱疹の典型的症状を知る

(2)できるだけ早く病院を受診して、抗ウイルス薬を投与する必要があることを知ることで防げます。

先日、うちの母も帯状疱疹になりましたが、「家族からよくこの病気の話を聞いていたので、帯状疱疹の出た場所が太ももの付け根だったけど、ピンときてすぐ病院に行った」と言っていました。是非、先に述べた「典型的な症状」を覚えておくことをおすすめします。また、家族や周りの方に「こんな病気もあるんだよ」というお話しをしてあげて、知識を共有化することもおすすめします。