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医院だより

第29回『【脂漏性皮膚炎】おでこにカサカサしたフケと赤みがでました』

こんにちは、理事長の工藤です。前号では 「『とびひ』とは?」についてお話ししました。

今回は、「【脂漏性皮膚炎】おでこにカサカサしたフケと赤みがでました 」というお話をします。

【脂漏性皮膚炎】おでこにカサカサしたフケと赤みがでました 

日常的に非常によくみる病気で、男性だけでなく女性も発症します。

というのも、この病気になると、顔に赤い湿疹が出て、そこにかさかさしたフケもでるため、外見的に問題になることが多いからです。

では、まずは典型的な症状からお話します。

顔の「額」、特に「髪で覆われた部分」「髪の生え際」や、「眉間」「鼻の周り」などに赤くてカサカサしたフケを伴う湿疹ができます。

かゆみを伴うことが多いです。たいていは、顔だけですが、稀に、ワキや体にも広がることがあります。

顔には「脂漏部位(しろうぶい)」というのがあります。皮脂が出やすく、テカリやすい部分ですね。女性の方は「Tゾーン」と言えばすぐにわかるかと思います。

具体的には、額、眉間、鼻のあたりなどです。

この部分は「脂腺」という皮脂を産生する器官が多く存在するので、どうしても皮脂の分泌量が多くなります。

この皮脂が皮膚の上で分解されると、刺激になります。

ここに、「マラセチア」という皮膚の常在菌が増殖してさまざまな反応や刺激を起こして、脂漏性皮膚炎になると考えられています。

この原因とされる「マラセチア」は真菌(カビ)の一種です。

「えっ、カビですか!さわったらうつるんですか?」と心配される方もいらっしゃるかも知れません。

しかし、この菌は常在菌なので、あなたの皮膚にもいます。

普段は特に悪さをするわけではありません。ですから、人にうつることはありません。

皮脂の分泌が増加すると、この菌が増殖するようです。

皮脂の分泌が多くなる原因として、ストレス、睡眠不足、多量の汗、食事の偏り、化粧品などが挙げられます。

また、体質的に皮脂が多い、いわゆる「脂漏体質」も関係します。

 ■脂漏性皮膚炎の治療と再発予防のポイント 

まずは、炎症が起きて、皮膚が赤くなってかゆみもある時期は、まず炎症を抑えないといけません。

その場合はステロイド軟膏で治療します。あまり強くないステロイドで、十分効くことが多いです。数日から一週間以内できれいに治ることが多いです。

ただ、脂漏性皮膚炎は慢性で再発性の病気です。放っておくと、忘れたころにまた再発します。

原因として、マラセチアという真菌(カビ)の一種が発症に関わっている、というお話をしました。

そこで、真菌(カビ)をやっつける外用薬、いわゆる「抗真菌薬」の外用が再発に有効です。

また、当院では再発しにくい塗り方も説明しています。

余談ですが、実はこれは水虫の塗り薬と同じです。といいますのも、水虫菌も「真菌」の仲間だからです。その他に、漢方薬も処方されることがあります。

ただし、漢方では、西洋医学と違って、「この病気にはこのクスリ」という風に病気とお薬が一対一の関係ではありません。

全身の状態をみて、総合的に決定します。ですから、脂漏性皮膚炎の方でも、全身の体調、体質によって処方されるお薬は違います。

さらに、皮脂が出やすい体質や、ストレス、睡眠不足などの生活習慣もその原因です。そのため、ストレスを避け、規則正しい生活を心がけます。

さらに、バランスのよい食事や十分な睡眠時間を取ることが勧められます。

さらに、できるだけ皮脂がたまらないように、低刺激性のシャンプーで皮脂を落として清潔にするように心がけましょう。

逆に、これらの生活を心掛けていれば、脂漏性皮膚炎は発症しにくいと思います。発症していない方は、少し気をつけておくと、予防になって良いと思います。