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医院だより

第59回『紫外線は曇りの方が危険!?』

こんにちは、理事長の工藤です。
前号では、「今日からできる冬の乾燥肌対策ポイント5(後)」についてお話しました。今回は「紫外線は曇りの日の方が危険!?」のお話をします。

★★曇りの日は紫外線は出てないって本当ですか?

「曇りの日は紫外線は出てないって本当ですか?」

うーん。これはウソです。確かに、雲は太陽の光をさえぎります。ですから、基本的には雲の量が多いと、太陽光が遮られるため、紫外線の影響は少なくなります。「なるほど。じゃあ今日は曇ってて日差しが強くないから、紫外線対策はいらないんですね!」と思うのは・・・ちょっと待ってください。ここでひとつ質問です。「曇りの日」は、「(雲ひとつない)快晴の日」と比べて、何%くらいの紫外線が出ているでしょうか?気象庁による、1997年~2003年の紫外線量のデータから算出した「天候と紫外線の影響度の関係」を以下に示します。
快晴:100%
晴れ: 92%
薄曇: 87%
曇り: 60%
雨 : 32%
なんと。曇りの天気であっても、快晴の日と比べて、実に「60~90%」もの紫外線の影響があるんですね!「薄曇」の日なんてほとんど「晴れ」と一緒じゃない
か・・・。「雨の日」でやっと30%前後まで下がります。・・・とは言え、雨でも「3割」も紫外線が出ているんですね・・・。このことからわかるように、曇りの日でも紫外線はしっかり降り注いでいます!ですから、「今日は日差しが強くないから、紫外線対策はいいや!」と思わずに、「今日は曇りだけど、晴れの日と同じようにしっかり紫外線対策をしよう!」と心掛けることが大事です。

★★むしろ雲がお肌に悪さをすることも!?

先ほどお話したように、雲は(多少は)太陽の光をさえぎってくれます。しかし、これは、あくまで雲が直接、太陽光線をさえぎっているときのお話です。これとは逆に、
雲が紫外線の影響を強めてしまうこともあります。それが「散乱」です。雲が太陽を直接覆わずに、「太陽のそばに雲があるだけの状態」だと、太陽光が雲で「散乱」してしまいます。その結果、我々が浴びる紫外線の影響が増してしまうんです。1996年の報告です。「太陽自体には雲はかかっていないが、太陽の近くに雲が存在する状態」の時、「快晴の日より25%も紫外線の量が増した」という観測があります。これはまさしく、太陽光を雲が「散乱」させてしまったことにより、紫外線量が増加してしまったんですね。ちなみに、「これまでで最も紫外線の影響が大きかった観測日」の天気とは、どんな天気だったと思いますか?快晴だったのでしょうか?国内の1990年から2007年までのデータです。札幌、つくば、鹿児島、那覇の各観測地点において、「記録上もっとも紫外線量が多かった日」の天気は、実は全て、「空全体の80%が、雲に覆われていた日だった!」ということがわかっています。雲の「散乱効果」おそるべしです。つまり「太陽が出ているけど、周りは雲だらけ」という日が、一番お肌に悪いということです!雲のあいだから、太陽が顔を出してい
るような日こそ、どうやらもっとも注意すべき日のようです。
「天候にかかわらずに紫外線対策をする」ことの重要性がご理解いただ
けましたでしょうか。
というわけで、繰り返します。曇りの日もきちんと紫外線対策を心掛けましょう!