江戸時代の日本人は、幸福度が高かった、と評価されています。江戸末期、日本を開国させたアメリカの初代駐日公使・ハリスも、日本人の印象を次のように記しています。「彼らは皆よく肥え、身なりもよく、幸福そうである。」幸福だった原因のひとつは、よく歩いて健康だったからかもしれません。江戸時代の移動手段は、基本的には徒歩だけです。江戸時代の庶民は毎日約3万歩、現代人の約6倍も歩いていたといわれます。
現代医学においても、歩く効用は認められています。生活習慣病である高血圧、糖尿病、高脂血症などや、うつ病、不眠症、認知症に効果があることは、広く知られている事実です。その他の病気も、歩くことで改善したり、完治することもあります。これは、歩くことに細胞などの老化を抑制、解消する効果があるためです。
老化の原因は、①細胞の酸化(錆び)、②細胞の糖化(焦げ)③ホルモンの変化に集約されます。歩くことで抗酸化物質が増え、細胞の酸化が抑えられます。食事で炭水化物や甘いものなど糖質を摂ると、血糖値が上昇します。散歩など運動を行うと余分な糖が消費され、ダイエットに効果的ですし、細胞の糖化も抑制されます。さらに歩くと若さや元気を保つホルモンや、成長ホルモンなどが増え、ストレスホルモンが減少します。
効果を高めるには、全身運動という意識も大切です。下半身だけでなく、上半身も動かすことにより筋肉から多くのホルモンが出ることが分かっています。特に肩甲骨を動かすことが大切です。腕を前にふるのではなく、後ろにしっかり肘を引き肩甲骨を動かしてください。
正しい姿勢も大切です。猫背だったりお腹を突き出した状態だったり、といった姿勢では効果半減です。まっすぐ立ち、お腹に少し力を入れ胸を張ってから歩き出しましょう。ぜひ、楽しみながら散歩して、元気と幸福をチャージしていってください。