医師で東京医療保健大学教授の高柳和江さんが提唱しているのが「笑医(わらい)」で、心と体を健やかに保つための笑いの医力を指します。
高柳さんは 30 年以上前に、中東のクウェートで小児外科医として働いていました。
そのときに感じたのが、クウェートでは医師や看護師、患者がみなよく笑っていて、病気やけがから回復するのが早いということ。
笑いが治癒力を高めていることに気づいたのです。
そもそも、笑うことで「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンやドーパミンが分泌されます。
その結果、ウイルスやがん細胞と戦うナチュラルキラー細胞に影響し、免疫力が高まるのです。
帰国後、高柳さんは笑医を広めようと「笑医塾」を開講し、塾長として笑うことの大切さを伝えはじめました。
実際、講座に参加した人から「笑って過ごすことで血糖値が下がった」「笑うことを心がけたら歩けるようになった」など、驚きの声が集まっています。
さて、高柳さんは1日5回、心から笑うことをすすめています。
朝起きてすぐ、朝昼晩の食事どき、夜寝る前の5回です。
もちろん、ほかのタイミングでも笑うことを意識することで効果がアップします。
嫌なこと、心配なことがあって「笑っている場合ではない」と思ったら、楽しいことで上書きしましょう。
たとえば、仕事で失敗したら、過去に成功したことを何度も思い出して上書きするなど。
悪いことをいいことに置き換えて覚え直すことで、いいイメージに上書きできます。
また、人をほめることも自分を笑顔にする方法です。
小さなことでかまいません。人をほめると相手が喜んでくれ、自分もうれしくなります。
相手の笑顔が自分にも返ってきて、一緒にいると楽しいと思えるのです。
さらに、感動することも笑顔を引き出すコツ。
きれいなものを見たりおいしいものを食べたりすると、自然に笑顔になるもの。
感動すると顔がほころんで笑いが出てくるのです。