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医院だより

第39回『夏に流行する病気「手足口病」をご存知ですか?』

こんにちは、理事長の工藤です。

前号では、「水虫薬の塗り方にはコツがあった!?」というお話をしました。今回は、「夏に流行する病気『手足口病』をご存知ですか?」というお話をします。

 

夏に流行する病気「手足口病」をご存知ですか? 

主に5歳以下のお子さんを中心に、夏場に流行するウイルス感染症です。

原因はコクサッキーウイルスA16型や、エンテロウイルス71型などのウイルスで、このウイルスのどれかに感染し、症状が出ます。

手のひらや足のうらを中心に、口の中、肘、膝やおしりに、赤みのある、小さな2~3mm大の水ぶくれや赤みができます。通常は、かゆみはあまりなく、痛みを訴えることが多いです。皮膚科の症状としては「かゆい」ことが圧倒的に多く、「痛い」という症状は珍しいので、これは大事なポイントです。

実際に沢山のお子さんを診療していると、「手足口」という名前のとおり、手、足、口に症状が出やすいです。しかし、手や足だけに出て、口にはほんの少ししか出ない例や、手や口にたくさん出て、足にはあまり出ない例などもあります。また、手足口だけでなく、膝やおしりに多数の水ぶくれができる例もあります。疹のでる範囲はかなり個人差があります。潜伏期間は2~5日です。感染経路は、口から出た唾液でうつる飛沫感染(ひまつかんせん)や、便が手につき、手からウイルスが口に入りうつる経口感染(けいこうかんせん)などがあります。かかった方の約半数は、1~2日間微熱が出ますが、すぐに解熱することがほとんどです。基本的には軽症で、発疹は数日~約1週間で自然に消え、治ります。

高熱、頭痛、嘔吐などの症状が強く出ている場合には治療が必要となりますので、小児科などの医療機関に相談してみて下さい。感染力は高く、皮膚の症状が消失してからも、2~4週間は便からウイルスが排泄され続けます。幼稚園や保育所など、施設の中で流行することが多いです。とはいえ、感染した個人をずっと隔離しておくことは現実的ではなく、また、症状自体が軽症であることがほとんどなので、実際は、「発疹が出ていても幼稚園、保育所、小学校などへ登校してもよい」とする施設が多いようです。水ぼうそう(水痘)やインフルエンザのように「絶対に学校は休まなければならない」という病気ではありません。

感染を予防するためには、おむつ交換時の便の適切な処理や、日頃からのうがい・手洗いが大切です。また、感染から1~2ヵ月後に、手足の数本の爪が根元から自然に脱落する、という症状が見られます。爪が急に根元からはがれそうな症状を見つけたら、数ヶ月前に手足口病のような症状にかかっていなかったか?を思い出してみましょう。爪は自然に生え変わり、もとのきれいな爪に戻るので特に治療の必要はありません。

これも意外に知られていないことですので、知っておくとよいでしょう。