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医院だより

豊かで気持ちいい! 「電気やガスを使わない暮らし」

 ジャーナリストの稲垣えみ子さんは、冷蔵庫や洗濯機など家電のない暮らしを10年以上続けています。1カ月の電気代はなんと230円程度で済んでいるのだとか!そんな驚きの暮らしぶりを覗いてみましょう。

 稲垣さんは新聞社勤務を経て、50歳で自主退職しています。以前は家電に囲まれていて、エアコンのない暮らしは考えられなかったほど。しかし、2011年の原発事故をきっかけに、稲垣さんは電気に対して考えを改めはじめます。当時、稲垣さんが暮らしていた関西では、電力の半分を原発が担っていました。そこで、家の電気代を半分にするという目標を立てます。ただ、努力している割には結果が出ません。そこでこの際、電気はないものと考えて生活することにしたのだそうです。

 それ以降、家電を次々に処分していきます。掃除機を手放し、掃除はほうきと雑巾だけで。雑巾で拭くと汚れが落ちるのがわかり、楽しいと感じます。洗濯機も手放し、洗い桶を使用。汚れたらその都度洗うことで、洗濯物をためなくなります。入浴は銭湯を利用。小さな浴槽より気持ちいいし、銭湯仲間もできて一石二鳥です。

 冷蔵庫がないので、毎日買い物に行き、一日3回ご飯を作ります。玄米に汁物、漬物といった献立はシンプルでおいしく、体にもよいと感じます。ガスは契約しておらず、カセットコンロで煮炊き。保温性の高い鍋を使い、ガスにかけるのは短時間。あとはカバーをかけて保温調理をします。さらに、電灯をつけない部屋では月の灯りを楽しめ、窓を開けると虫の声に癒されます。

 電気を使わない生活に慣れると、風や湿度、太陽の光などが日々少しずつ変化し、季節が移り変わっていくのを肌で感じられます。「必要だと思い込んでいるだけで、なければなんとかなるものはたくさんある」と、稲垣さんは言います。電気やガスを使わない生活は豊かでとても心地よさそうです。