雑誌や書籍などで活躍する料理研究家の大庭英子さんは、「私サイズ」でおいしく食べることにこだわっています。まず、朝食はしっかり摂るという大庭さん。定番はパンと冷蔵庫の中の作り置きおかず、ヨーグルト、ジャム、フルーツなど。昔からずっと変わらないからこそ迷わないし、朝食を抜くことはないそうです。昼食は麺類で、夜は食べたいものを食べています。
このように 40 年以上、大庭さんは同じスタイルで食べてきましたが、60 歳を過ぎたころから暮らしのサイズを見直すようになったそうです。前は一度に何品もおかずを作っていましたが、1品から2品くらいに絞りました。使う道具は小さめのフライパンひとつ。工夫次第でフライパンひとつでも十分だし、洗い物が減って手間がぐんと少なくなります。もちろん、いろいろな種類のものを食べて栄養バランスを考えることは大切です。ただ、ひとり暮らしや夫婦2人暮らしで1日 30 品目を実現しようとするとたいへんです。1週間でバランスがとれていれば十分と、大庭さんは考えているのです。ひとつの料理に何品目も使うこともやめました。素材を中途半端に残してしまうから。結果、1種類の野菜で1品を作るスタイルで落ち着いています。ニンジン1本を使ってキンピラにする、レンコンを丸ごと使ってグリルにする、ジャガイモをせん切りにしてサラダになど。そんな野菜料理と、あとは肉や卵の入ったスープだけ。
それよりも大切なことは、「おいしく食べよう」という思いです。味はもちろん、体にも心にもよりよいものをという気持ちです。たくさんの種類の素材を買うわけではないので、少しくらい高額でもいい材料を手に入れます。いい材料なら塩とこしょうだけで十分おいしいし、味つけに手間がかかりません。体にもお財布にもよいと、いいことづくめです。